AIで「一人でできる」が増えるほど、ソロプレナーが考えるべきこと

AIによって、一人で事業を始め、運営できる範囲が急速に広がっています。

2026年9月に公表されたZenBusinessの米国調査では、37%が一人で事業を運営し、20%は今後も一人の状態を維持する予定と回答しています。

また、75%が少なくとも一つの主要業務でAIを利用し、47%は、AIが共同創業者のような役割を果たしている、または本来なら人へ依頼していた仕事を処理していると回答しました。

これまで事業が大きくなると、

「仕事が増える」
↓
「人を雇う」
↓
「組織を大きくする」

という流れが一般的でした。

しかしAIによって、この前提が変わり始めています。

一人でも、以前なら複数人で行っていた仕事を扱える可能性が広がっています。

ただし、ここで注意したいことがあります。

「一人でできることが増えた」ことと、「一人で持続的に事業を続けられる」ことは同じではありません。

同じZenBusinessの調査では、68%が初年度売上10万ドル未満を予想し、42%は12か月以内に黒字化できなければ事業から撤退すると回答しています。

AIは起業や事業運営のハードルを下げています。

しかし、それだけで事業の継続や成果まで保証されるわけではありません。

AIは「自分の仕事」だけを変えるのではない

そして、もう一つ重要な変化があります。

AIは「自分の仕事を助けてくれる」だけではありません。

顧客側もAIを使えるようになっています。

PYMNTS IntelligenceとWorkWhileによる2026年9月の米国調査では、デジタル・クリエイティブ系の仕事を必要とした人の57.5%が、AIを使って自分でその仕事を処理していました。

デジタルフリーランサーの36.6%は、顧客がAIで作ったものを修正・完成させる仕事を依頼された経験があり、28.7%は「AIならもっと安くできる」という理由で値下げを求められています。

AI時代に考えるべき二つの問い

ここには、AI時代の一人事業者が考えるべき二つの問いがあります。

一つ目は、

「自分が今やっている仕事のうち、本当に自分がやる必要がある仕事は何か?」

です。

調査、文章作成、資料整理、画像制作、事務処理。

AIや既存ツールへ任せられる仕事は、これからさらに増えていくでしょう。

しかし、すべてをAIへ任せればよいわけではありませんよね。

顧客との重要な対話。
最終判断。
責任を伴う確認。
自分自身の経験や価値観に基づく意思決定。

人が保持した方がよい仕事もあります。

そして二つ目は、

「自分が現在販売している仕事を、顧客自身がAIでできるようにならないか?」

です。

これは少し厳しい問いかもしれません。

文章を書く。

画像を作る。

情報を調べる。

資料をまとめる。

こうした「作業そのもの」に価値を置いていたサービスは、AIによって顧客自身ができる範囲が広がっています。

では、これから何に価値が残るのでしょうか。

CREDISTA™が考える、AI時代に残る価値

私たちCREDISTA™では、その答えを単純に「AIにはできない仕事」とは考えていません。

むしろ重要なのは、

何を事実として使うのか。
顧客固有の状況をどう理解するのか。
何を基準に判断するのか。
どこから人が確認するのか。
最終的に誰が責任を持つのか。

こうした、仕事の背景にあるSOURCE、CONTEXT、判断基準を明確にすることだと考えています。

英国NatWestの2026年の調査でも、中小・中堅企業の44%がAIを利用している一方、AIを利用している企業の中で、AIが業務・意思決定・顧客体験まで変える最上位段階に達している企業は6%でした。

AIを使うことと、仕事そのものを変えることは同じではありません。

「もっとAIを使う」だけではなく、仕事そのものを整理する

これからのソロプレナーに必要なのは、「もっとAIを使うこと」だけではないのかもしれません。

自分の仕事を一度見渡し、

自分が持つべき仕事。
AIと一緒に行う仕事。
AIへ任せる仕事。
既存ツールを使う仕事。
専門家へ任せる仕事。
そして、そもそもやめてもよい仕事。

これらを整理し直す。

同時に、自分の商品やサービスについても、

「顧客自身がAIでできる部分はどこか」
「それでも自分に依頼してもらう価値は何か」

を考える。

AI時代の「一人で働く」とは

AI時代の「一人で働く」は、一人ですべてを抱えることではなくなっていくのかもしれません。

AI、ツール、外部の専門家を使いながら、自分自身は何を保持するのか。

CREDISTA™では現在、この「ソロプレナー × AI」の変化を継続的にリサーチしています。

AIに何を任せるかを考える前に、

「自分は何を持ち続けるのか」

そこから仕事を考え直すことが、AI時代の事業づくりではますます重要になると考えています。

参考SOURCE

本記事は、2026年10月2日時点で確認できた以下の公開情報をもとに、CREDISTA™の「ソロプレナー×AI」研究として考察したものです。

・ZenBusiness
State of Entrepreneurship Report 2026
米国の起業家・起業予定者を対象に、ソロでの事業運営やAI活用について調査。

・PYMNTS Intelligence × WorkWhile
The Wage to Wallet Index, September 2026
デジタル・クリエイティブ領域におけるAIによる自己処理、フリーランサーへの依頼、価格への影響などを調査。

・NatWest Group
AI Adoption Report 2026
英国の中小・中堅企業約1,400社を対象に、AI利用から業務・意思決定・顧客体験の変化まで、AI活用の成熟度を調査。

※海外調査にはソロプレナー以外を対象とした調査も含まれます。各調査結果を日本のソロプレナーへそのまま一般化するものではありません。CREDISTA™では、外部SOURCEとして確認した事実と、そこから得られる研究上の示唆・仮説を分けて継続リサーチしています。

前田浩一

AI時代の「対話デザイン」専門家 / CREDISTA™ コーチング 代表
人にもAIにも選ばれる「クレド経営」を伴走します。

ITベンチャー企業や外資系企業でテクノロジーの最前線に触れた後、ブランディング、広報、コミュニケーションデザインの領域で独立。

2010年代には、福祉分野の指導者を育成するオンライン資格講座をプロデュースし、全国2,000名以上の資格取得者の育成に携わりました。

現在は、教育・医療・福祉分野を中心に、経営者や専門職の「自分軸」を言葉にするコーチングと、その想いや専門性をWeb・AIを通じて届ける仕組みづくりを支援しています。

若い頃には、NHK放送『大草原の小さな家』のウイリー役など、声優として活動した経験があります。「言葉は、内容だけでなく、声や伝え方によって人の心に届く」という実感は、現在の対話支援にもつながる原点の一つです。

NLP(神経言語プログラミング)をはじめとする心理・コミュニケーションメソッドを学び、米国NLP協会認定マスタープラクティショナー等の資格を取得。

経営者の内側にある原本からCOREを見つけ、判断軸とクレドを整え、人にもAIにも正しく伝わり、信頼される経営基盤をデザインしています。

研修講師実績

・六本木ヒルズにおけるブランディング研修
・厚生労働省「全国高等学校就職ガイダンス」メイン講師
・大学・専門学校・高校におけるキャリア支援、EQ自己分析・面接技法研修
・福祉・介護・保育従事者向けコミュニケーション/ストレスマネジメント研修
・発達特性と家族関係をテーマとした講演
・ローコード・ノーコードによるWeb制作研修
・AI×Web戦略研修

アドバイザー実績

医療機関、福祉事業者、教育関連団体などのWeb・情報発信支援に加え、地方自治体や金融機関等にデジタル地域通貨のSaaSプラットフォームを提供する企業のプロジェクトに参画。自治体実証実験アプリのUI設計・ロゴ開発などを担当。